自然は、言葉を超えた先生。

 私はこれまで、学校教育の現場で17年間子どもたちと向き合ってきました。
その中で、「教えること」よりも大切なものがあるのではないか、と感じるようになりました。

知識や正しさを伝えることはできても、
子どもが本当に自分を信じられるようになる瞬間は、
もっと静かで、もっと体験的なものだったからです。

自然の中で過ごす時間は、私にそのことを思い出させてくれました。

焚き火の前に座ること。
風の冷たさを感じること。
思い通りにいかない体験と向き合うこと。

そこでは、「うまくやること」よりも
「今、何を感じているか」が自然と立ち上がってきます。

あおぞらベースが大切にしていること

あおぞらベースでは、
ロープワーク、火おこし、シェルターづくり、野外調理など、
ブッシュクラフトを中心に自然体験を行っています。

子どもたちは挑戦し、工夫し、失敗し、また挑戦します。

私たちが大切にしているのは、
その体験の中で生まれる感情です。

  • できたときの嬉しさ
  • 思い通りにいかなかった悔しさ
  • 仲間と助け合えた安心感

それらを「評価」するのではなく、
丁寧に言葉にしたり、静かに感じたりする時間をつくります。

葛藤は、その子を強くします。
けれど、それをひとりで抱え込ませません。

「そのままで大丈夫」と受けとめてもらえた経験は、
やがてその子の内側に、安全な場所として残っていきます。

言葉になる時間と言葉にならない時間

キャンプでは「ぼうけんノート」を使います。
感じたことを、自分のために書く時間です。

同時に、あえて言葉にしない時間も大切にしています。

森の音に耳を澄ますこと。
焚き火をただ見つめること。
胸に手を当てて、呼吸を感じること。

自然の中で過ごすこうした時間は、
子どもたちの内側に静かな落ち着きと確かさを育てていきます。

変容の旅へ

 自然の中では、思い通りにならない出来事がたくさん起きます。
その中で子どもたちは、自分の気持ちに気づき、
少しずつ自分で整えていく力を身につけていきます。

あおぞらベースは、
何かを“教え込む”場所ではありません。

自然の中で、
自分とつながり、
仲間とつながり、
安心して挑戦できる時間をつくる場所です。

この体験が、
いつでも思い出せる「心の安全基地」となることを願っています。


一般社団法人あおぞらベース
代表理事 久保元城